貝紫は貝から得られる紫色の色素であり、昆虫由来の赤色色素コチニール、カーマインと並び数少ない動物性の色素です。この貝紫色素は、紀元前1600年以前の古代ギリシャ時代か利用されており、中米のインディオでは現在でも細々と利用され続けています。
貝紫は6,6’-二臭化インディゴの構造をとっており、前駆体である臭化インドール誘導体が日光と酸素にさらされることで縮合して形成されます。しかし、この臭化インドール誘導体の生合成過程は、現在明らかになっていません。我々は貝紫の生合成過程の全貌を明らかにすることを目的として、この過程に関与していると考えられているブロモペルオキシダーゼ(BPO)を対象に研究を行っています。